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2013年8月

2013年8月25日 (日)

素敵な空間で素敵な粗挽き 奈良市あやめ池は「彦衛門」

最後に訪れたのはもう何年前になるんやろね。
モダンな中に和を少し配した落ち着きある店内で食べる粗挽き蕎麦。
久し振りに訪れてきました。

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平日の開店間際を狙ったんやけど、何と40分待ち。
すんごい人気店になってたんやね・・ (;。;)
チラホラとお客さんが腰を上げ始め、ようやくカウンターに案内して頂きました。

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お願いした品が運ばれる頃には、潮が引いたように店内は落ち着きを取り戻したんよ。

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星のように魚子が散らばるコンニャクは、さながら器という小宇宙に広がる天の川。
弾力有る歯応えにプチプチと弾ける玉子がとっても楽しい食感! これは日本酒にも合うやろね~っ。

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鴨ロースは華やかな器に盛られ豪華さを演出してます。
食べるのが勿体ない、そう思いながらもすでに花穂紫蘇を箸でしごいてました。
この可憐な薄紫の花が何とも良い仕事をして、鴨に爽やかさを添えるんよ。

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これじゃお酒が進まぬ訳はない。おかわりっ!「クーッ、なんて幸せなんや」。
あっ あかん! 蕎麦前で終わってしまうとこやった。
落ち着きを取り戻して粗挽き蕎麦をお願いしました。

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白地にコバルトブルーのアクセントが涼しげなお皿には、無骨で荒々しい表情を見せる粗挽きがウズッと盛られるんよ。
ゴツゴツとした蕎麦肌に広がる赤黒白のお星様。
見ただけで美味しさを感じるんやけど、見取れている訳にはいきません。

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一手繰りすれば見た目の美味しさが実感となり、噛み進むほどに広がる穀物感は甘味を伴い、その香りが鼻の奥へと消えていく。
その香りが消えぬうちにもう一手繰りと食べ進み、気付けばお蕎麦の姿は無く・・鼻と舌に幸せの名残を残すだけなのでした。

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取り残された蕎麦つゆは蕎麦粉を溶き入れたトロ味蕎麦湯で頂き、、、お店を出ました。

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近所のこんもりとした森には三輪神社が在り、お参りをして駅に向かったのでした。

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これでこの日の幸せ終了です。

蕎麦切り 彦衛門

お店は→奈良県奈良市あやめ池南6-5-38
電話は→0742-53-3697
営業は→11:30~14:15 17:30~20:15LO
お休み→火曜・水曜日
駐車場→有り
最寄り駅→近鉄菖蒲池徒歩3分程度

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2013年8月24日 (土)

小さな隠れ家でお蕎麦 和歌山市神前の「そば切り かなや」

うどん文化の色濃い関西も、京都を中心に古くから蕎麦文化が広がっていた。
そのせいか、今でも癖の無い色白更科系を好む人が多いように思う。
しかし、ここ20年程でニューウェイブと言われるお店が台頭し始め、近畿2府3県でも十割、粗挽き・田舎など様々な味を楽しめるようになった。
ただどういう訳か、残り1県の和歌山には未だお蕎麦を主役とする店が少ないのである。

1_そんな和歌山で江戸風手打ち蕎麦を楽しめる1軒が「かなや」。
僅か十数歩の短いアプローチから、引き戸を開けた店内に広がる小さな別世界。

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汁は程良く出汁香り、甘さ控えめでスッキリとした口当たり。
鬼皮を挽き込まない丸抜きのお蕎麦は、コシしなやかで舌触り良くフンワリ香ばしさが漂う。

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更科や変わりそば、極希にうどんまで打つ時がある。
うどんは別としても、レギュラーメニューである田舎も希なのが少し不満なのだが。
そこは昔ながらの白蕎麦文化が色濃く残ると言うことなのだろう。
ただ、幸運にも私はその両方の味を経験している。

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中でも鴨せいろはお気に入りの逸品。
四角いせいろと丸い鉢が並ぶテーブル上の景色は結構素敵なのだ。

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蓋を開けるとホンワリといい匂いを立ち上げながら鴨汁が現れる。

三つ葉が散らされていて、顔を近づけるとフンッと柚子の香が良いアクセント。

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蕎麦湯で割ってホッと一息つきながら店内を眺めると、神田やぶそばとはまた違った安らぎの空間。
まさに凝縮された素敵なのだ。
あっ! そんなかなやにも難点が一つある。営業が火曜から金曜なのだ。。。

これでこの日の幸せ終了です。

そば切り かなや

お店は→和歌山県和歌山市神前
営業は→11:30~14:00
お休み→月曜から金曜日
駐車場→2台
最寄り駅→和歌山電鐵神前駅徒歩2分程度

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2013年8月18日 (日)

懐かしい香り 東京は荒川区日暮里「川むら」

外観は気の置けないお蕎麦屋さんやけど・・中に入ってもそうやった (^0^)
JR日暮里駅を出て谷中銀座に向かうと間もなく右手にその店が有るんよ。
いかにも的では無く「どうぞお気軽に」そんな入口なんよね。

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それではと狭い間口の引き戸を開ければ、小ぢんまりとした店内に懐かしさが漂い。。。
思わず「おばちゃ~ん、ざる蕎麦!」みたいな。
でもメニューは一通り揃い、酒のアテも結構有るやん。

鴨山椒焼と生ビールで!

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気さくな江戸っ子気質の奥様は、お客さんにも気配りを忘れず、チャッキチャキッと注文をこなす。
下町情緒が残るこの界隈ならではやろか、午後1時を過ぎていても常連客に混じり、観光や仕事の昼食で訪れる人達が入れ替わり立ち替わり。

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私はと言えば鴨を肴にビールをチビチビ。
鴨はチョイ薄やけど歯応えがあって、濃い目の味付けはいかにも酒が進む一品。

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意外にも細切りのお蕎麦は流麗で爽やかさ漂うイケ麺。
僅かに黒・赤ポチが混ざり透明感ある蕎麦肌は、眺めるだけで美味加速度がUPなんよ。
一手繰り啜れば・・やっぱり美味しいやん。。

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普段使いの町のお蕎麦屋さんが、口の中では本格蕎麦店に変身。お見逸れしやした!!
つけ汁は辛汁ながらホンノリ甘味と旨味が隠れてて、白濁加減のサラッとした蕎麦湯で頂くとそれが表に出るんよ。
市井の店にこんな素敵さを味わえるのが嬉しい。

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すぐ近くには上野戦争の被弾痕が残る山門がある経王寺もありました。

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こんなお店が近所に有れば頻繁に通いそう・・
そう思いながら夕焼けだんだんを下りました。

川むら

お店は→東京都荒川区西日暮里3-2-1
電話は→03-3821-0737
営業は→11:30~20:00
お休み→木曜日
最寄り駅→JR日暮里駅 谷中方面へ徒歩2分

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2013年8月 9日 (金)

滋賀県の道駅鴨蕎麦2 みずどりステーション

鴨そば630円

江戸蕎麦等で忘れてた道駅鴨蕎麦2を。
(;^^)ヘ..

湖北町のさざなみ街道沿いには2.5kmに渡り続く葦原や湿地、琵琶湖は日本で3番目にラムサール条約の登録湿地となった場所。

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びわ湖独特の襟漁は有名です。

「琵琶湖水鳥湿地センター」が有る水鳥公園は、野鳥の楽園として沢山の水鳥を見る事が出来る施設。

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その南隣に有るのが道の駅みずどりステーション。ここでは鴨蕎麦を食べることが出来るんよね。

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駅入口の左手奥が「和風レストラン水鳥」。
鴨そばを単品でお願いしたんやけど、セットメニューは各麺類にかやくご飯等が付きリーズナブル。

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丼に立ち上る花鰹の香りがフンワリと鼻先をくすね、アッサリとした汁はそう甘さを主張しません。
お蕎麦は舌触りにちゃんとお蕎麦を感じるんよ。

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厚みもそこそこの薄らピンクの鴨肉は、皮に少し焦げ目が入りエエンちゃうん。
ネギに埋もれてて気付かんかったんやけど、、
人参などの野菜を鴨肉で巻いていて、何処を切っても!の「金太郎鴨」?が一枚入ってました (^0^)

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綺麗な水辺の風景と水鳥。そしてお蕎麦。
これで630円やったらエエ感じやと思います。

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息を呑むほどの夕景を楽しめる湖北。
道駅蕎麦を楽しんでホッコリして下さい。

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道の駅 湖北みずどりステーション

お店は→滋賀県長浜市湖北町今西1731-1
電話は→0749-79-8060
営業は→9:00~18:00
お休み→12月31日~1月2日
駐車場→有り

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2013年8月 4日 (日)

いつ来ても素敵 東京は台東区浅草「並木藪蕎麦」

浅草には素敵なお蕎麦屋さんが沢山有ります。
とりわけお気に入りは西浅草「おざわ」ですが、この日時間の関係も有り駅近の「並木やぶそば」へお伺いすることに。

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午後四時半という時間帯なのか幸いにも幾席か空いていて、お座敷に案内して頂きました。
ふと見ると以前お伺いした時と同じ席で、初老の御仁が一人練り味噌で日本酒を傾けておられます。
私が老舗江戸蕎麦店を素敵だと思う瞬間。

前回頂いた鴨抜きをとも思ったのですが、天麩羅で蕎麦酒を楽しむことにしました。

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並木の天麩羅は太めの海老三尾をそれぞれに、細めは三尾一対の二固まりで出されます。
これを別出し天ツユで頂くのですが、さすが江戸一番の辛汁を出す並木、天つゆも辛い!!
蕎麦同様に海老天の先っちょをチョン漬け。

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その頃初老の御仁は二合目を空け終え、丁度お蕎麦を手繰り上げている様子。私もそんな楽しみ方をしたいものだと思いつつ、「すみません、ざるを一枚」

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並木の汁は確かに辛いが醤油辛いだけでは無く、キッチリと鰹出汁を取った旨味を感じる。
お蕎麦の先っちょを辛汁に浸け、ズズッと啜り上げれば汁の奥深さが体に染み込みます。

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初老の御仁は帰り際に靴を揃えてもらい「いつもすみませんね」、「いいえまたお越し下さい」。

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急かすことなくそれでいてお客の様子を窺い、タイミングを見計らってお蕎麦はどうしましょうかなどと声掛けする。
お客も素敵で、空いてるともう少し後で、でも待ち客が出来るとお店に甘えず長居しない。

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老舗の魅力は特筆する程の旨さより、特筆する程素敵さが有る
お店もお客もみんな素敵。
そんな空間がここには広がっているのです。

並木やぶそば

お店は→東京都台東区雷門2-11-9
電話は→03-3841-1340
営業は→11時半~19時半
定休日→木曜
最寄り駅→東京メトロ浅草駅徒歩2分

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2013年8月 2日 (金)

繊細な出汁使い・・東京は文京区湯島「古拙」

暮れなずむ街には仕事帰りの人々が犇めき家路を急ぎ、沿道の店は人々を呼び込むように灯りを灯し始める。
そんな通りを曲がるとついさっきの喧騒が嘘のように遠のき、目の前にはひっそりと三組坂が続いていた。
結構急な坂を登り切る所にお店はある。

高級料亭の感も有るのだが、場所柄怪しげな雰囲気も醸し出す石垣様の外壁。
その外壁に光る駐車場のサイン。
正面近くに来ると、グンと奥まった入口に立て掛けられた旗に「よるそば」の文字を見てそれらは払拭された。

酒と肴と、水腰蕎麦 古拙
何だか結構有名なお店らしい。
ここに有る「よるそばコース」の松・竹・梅には、それぞれにおまかせ五品・四品・三品と蕎麦味噌・出汁巻き・〆蕎麦が付く。
おまかせ三品の梅1,950円をお願いする事に。

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煮浸しは小松菜でしょうか?
一口するとまず感じる出汁の旨さ。かなり薄味に仕上げられているにもかかわらず全く物足りなさを感じない。
私はこの汁でお酒を飲めます。(^0^)

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次にタコ・マグロ・あおやぎに、海ぶどうが添えられたにぎり三貫。
何とも綺麗な景色はまるで宝石の如く輝いていて・・
ホンノリ仄かに寿司飯が温かく、これが結構美味しいのです。あえてこうしているなら「素晴らしい」と心の中で絶賛してしまう。

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5_続く出汁巻きもやはり出汁なのです。
絶妙の薄味仕立てで旨味キッチリという、私好みに投げ込まれた直球ど真ん中。
箸を入れると湧き出る出し汁、口に入れると優しい歯応えに広がる出汁の旨味。もう、玉子100個分でも食べたい位の涙もの。

おまかせ最後は、魚ソテーに香味の揚げ野菜??
ハーブの華やかさが白身魚のソテーと愛称バッチリ!

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これは蕎麦前としては不向きでしょうが、美味しい料理を楽しんでアッサリ喉越し良い蕎麦を食べるというこの店のコンセプトとすればOKです。

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さて〆蕎麦は驚きの超極細打ち。
私の頭にある極細打ち蕎麦店の記憶をテーブルに取り出して並べると、多分ここが一番かも知れません。

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超極細打ちはその水切りが気になるのですが、幾噛みかすれどもジュクジュク感は感じられず、かえって適度な水気とコシが心地よい。
御主人の趣旨通りか、香り密やかに舌触り良く、ツルンとアッサリと仕上げられたお蕎麦。
確かに蕎麦は苦手という人でも、先に出るおまかせ一品達の延長上にある一品として頂けるでしょう。

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もう一つ特筆すべきは最後の蕎麦湯。
超濃厚で真っ白な蕎麦湯は更科粉を溶き入れているのか、白粥の上澄みを感じるも穀物の風味が薄く抑えられている。
ここにも蕎麦を蕎麦と感じさせずに蕎麦を楽しむという理念が現れているのかも知れません。
因みに蕎麦湯注しの蓋を開けてみると茶漉し網が入れられていました。

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ともあれこの日の最後を締めくくるには、とても素敵な時間だったと感じながら三組坂を下ったのでした。

酒と肴と、水腰蕎麦 古拙

お店は→東京都文京区湯島3-20-3
      ホテル江戸屋B1?
電話は→03-3835-4992
営業は→11:30~14:00 17:00~22:00(21:30LO)
お休み→日曜日
最寄り駅→千代田線湯島駅5番出口徒歩3分

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