繊細な出汁使い・・東京は文京区湯島「古拙」
暮れなずむ街には仕事帰りの人々が犇めき家路を急ぎ、沿道の店は人々を呼び込むように灯りを灯し始める。
そんな通りを曲がるとついさっきの喧騒が嘘のように遠のき、目の前にはひっそりと三組坂が続いていた。
結構急な坂を登り切る所にお店はある。
高級料亭の感も有るのだが、場所柄怪しげな雰囲気も醸し出す石垣様の外壁。
その外壁に光る駐車場のサイン。
正面近くに来ると、グンと奥まった入口に立て掛けられた旗に「よるそば」の文字を見てそれらは払拭された。
「酒と肴と、水腰蕎麦 古拙」
何だか結構有名なお店らしい。
ここに有る「よるそばコース」の松・竹・梅には、それぞれにおまかせ五品・四品・三品と蕎麦味噌・出汁巻き・〆蕎麦が付く。
おまかせ三品の梅1,950円をお願いする事に。
煮浸しは小松菜でしょうか?
一口するとまず感じる出汁の旨さ。かなり薄味に仕上げられているにもかかわらず全く物足りなさを感じない。
私はこの汁でお酒を飲めます。(^0^)
次にタコ・マグロ・あおやぎに、海ぶどうが添えられたにぎり三貫。
何とも綺麗な景色はまるで宝石の如く輝いていて・・
ホンノリ仄かに寿司飯が温かく、これが結構美味しいのです。あえてこうしているなら「素晴らしい」と心の中で絶賛してしまう。
続く出汁巻きもやはり出汁なのです。
絶妙の薄味仕立てで旨味キッチリという、私好みに投げ込まれた直球ど真ん中。
箸を入れると湧き出る出し汁、口に入れると優しい歯応えに広がる出汁の旨味。もう、玉子100個分でも食べたい位の涙もの。
おまかせ最後は、魚ソテーに香味の揚げ野菜??
ハーブの華やかさが白身魚のソテーと愛称バッチリ!
これは蕎麦前としては不向きでしょうが、美味しい料理を楽しんでアッサリ喉越し良い蕎麦を食べるというこの店のコンセプトとすればOKです。
さて〆蕎麦は驚きの超極細打ち。
私の頭にある極細打ち蕎麦店の記憶をテーブルに取り出して並べると、多分ここが一番かも知れません。
超極細打ちはその水切りが気になるのですが、幾噛みかすれどもジュクジュク感は感じられず、かえって適度な水気とコシが心地よい。
御主人の趣旨通りか、香り密やかに舌触り良く、ツルンとアッサリと仕上げられたお蕎麦。
確かに蕎麦は苦手という人でも、先に出るおまかせ一品達の延長上にある一品として頂けるでしょう。
もう一つ特筆すべきは最後の蕎麦湯。
超濃厚で真っ白な蕎麦湯は更科粉を溶き入れているのか、白粥の上澄みを感じるも穀物の風味が薄く抑えられている。
ここにも蕎麦を蕎麦と感じさせずに蕎麦を楽しむという理念が現れているのかも知れません。
因みに蕎麦湯注しの蓋を開けてみると茶漉し網が入れられていました。
ともあれこの日の最後を締めくくるには、とても素敵な時間だったと感じながら三組坂を下ったのでした。
「酒と肴と、水腰蕎麦 古拙」
お店は→東京都文京区湯島3-20-3
ホテル江戸屋B1?
電話は→03-3835-4992
営業は→11:30~14:00 17:00~22:00(21:30LO)
お休み→日曜日
最寄り駅→千代田線湯島駅5番出口徒歩3分
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