いつもどおり・・ 東京都千代田区は神田淡路町「神田やぶそば」
私は店を含めたその雰囲気全体が美味しい蕎麦屋が好きだ。
むろんお蕎麦が美味しいのに越したことはないのだが、どんなに絶品のお蕎麦を出すお店でも蕎麦以外が全部ダメという店にはきっと通わない。
そんな店の雰囲気全体が美味しいと感じる神田やぶそばが昨年10月に営業を再開した。
火災から約1年8ヶ月という飲食店としては長すぎるような期間をかけての再開である。
本当はすぐにでも行きたかったのだが、ようやく今回の訪問となった。
私にとっては約2年ぶりとなる。
神田まつやを通り過ぎ細い道へ曲がり進むと、ビルに囲まれた一角に新生神田やぶそばが現れた。
以前を知らなければスッキリとして素敵なお店に感じるだろう外観は、庭こそ狭くなったものの取り払われた板塀の代わりに竹垣が造られ、それに沿うように植えられた竹は藪そばという名の由来を思わせる。
以前のように隔離された様なビル街の異空間を感じるのでは無く、どことなく辺りに旨く溶け込んでいるようにも映っている。
先ず待合いから入りそこでドアを開け客室に入るるのは以前と同様だ。
いらっしゃい~~~~~、天井が高くなった広い店内にいつもどおりの声が響く。
お座敷が少なくなった?気がするが2階にもお座敷を設けたたようだ。
さて、肴はいつもどおりの「わさびいも」と「あいやき」を頼み、ビールはエビスの小とした。
突き出しはいつもどおりの練り味噌で、これが中々旨いのだ。というより日本酒に合う。
これに遅れること無く出されたわさびいもには、いつもどおりの可愛らしいガラス製の醤油挿しに入れられた醤油と酢が添えられている。
ここのわさびいもの粘り加減は半端じゃない。お箸でつまみ上げると小鉢の中が全部持ち上がってしまう。いやこれは嘘では無く本当にそうなのだ。(写真を撮れば良かったのだが、おっさん一人トロロを持ち上げる図はさすがに恥ずかしい)
食べた事の有る人なら解るはずだが、お箸で切り分けて食べなければならないのである。
くどいようだが少量掬い上げようとすれば全部持ち上がるのだから。
まあわさびいもの話はこれ位にしておこう。
そして大好きなあい焼きが満を持しての登場。
見よこの潔いいつもどおりの色合いを! モノトーンと言っても決して過言では無い。
おざわのように獅子唐の緑が添えられること無く、茶色と白だけのセピアな世界がお皿の中で広がっているのだ。
そして何よりの特色は鴨肉四切れに皮一切れが組み合わされている。
普通なら鴨肉五切れか「つみれ」が添えられていてもおかしくは無いのだが、あえて皮を入れる!
これが神田やぶの拘りなのかもしれない。
鴨肉は歯で噛み切れる程柔らかくてジューシーなのだが、何よりこの皮が以外にも軟らかいのだ。
ガムのようにかみ続けること無く胃袋に収めることが出来る事を書き添えておく。
頃合を見計らいお蕎麦を頼むと勘定場の方で響く「おせいろ~一枚い~~~~」の声。
これがお蕎麦少なめと頼めば「おせいろ~一枚い~~~台は桜で~~」となるのだろうが、そうすると三口くらいでお蕎麦が無くなってしまうだろうな・・・そんな馬鹿なことを思いながらグラスに残るビールを流し込んだ。
こうしていつもどおりの緑がかったせいろ蕎麦が運ばれるのだ。
全てがいつもどおりなのだが・・やはり違和感を感じてしまう。
しかしや、がて時間の流れと共にこの店自体がしっくりと客に合わさっていくのだろう。
ホーミーのような、そして声明(しょうみょう)のような声が変わることなく店内に響く。
いつもどおり神田やぶそばの歴史がまた新たに刻まれていく。
お店は→東京都千代田区神田淡路町2-10
電話は→03-3251-0287
営業は→11:30~20:00(LO)
お休み→水曜日
最寄り駅→地下鉄丸ノ内線淡路町・新宿線小川町・銀座線神田須田町
| 固定リンク
「お蕎麦の東京」カテゴリの記事
- 谷根千で蕎麦酒 東京都文京区は 「 鷹匠 」(2018.03.04)
- おざわ臨時休業 で、浅草観音裏 「弁天」で牡蠣南蛮(2018.02.25)
- 東京駅蕎麦 永坂更科布屋太兵衛大丸東京店12F(2016.10.12)
- その名の通り宮崎な蕎麦居酒屋 東京都千代田区麹町は「椎葉」(2016.09.11)
- 超蕎麦好き高藤彩子ブログで知ったお店 東京は本郷 「田多奈部 」(2016.07.10)
コメント