小さな町歩き 奈良県宇陀市は大宇陀
柿本人麻呂がこの地を詠んだと言われるあまりにも有名な詩、
東の(ひむがしの) 野に炎(かぎろひ)の立見えて
かえりみすれば月傾(かたぶ)きぬ。
これは東の空に暁光が見え始め空が赤く染まった時、西を振り向けば月が山に沈もうとしていたという風景を詠んだもの。
そんな大宇陀は、
古代は阿騎野と呼ばれ薬草の狩り場として、そして中世には伊勢街道が通り、交通の要衝として小高い山に松山城が築かれ栄えた城下町だった。
現在は街道の西に国道が通り、忘れ去られたような町は江戸後期から明治にかけての建築物を多く残し、国の重要伝統的建造物群保存地区 ( 重伝建 ) の指定を受け、歴史の風情を今に伝えている。
私が大宇陀を歩き始めたのはかなり以前だったのですが、ちょうど重伝建の指定を受けて町おこしをしようとしている頃だったのかもしれない。
医院の跡を町並み交流館として開放し、道路整備や町並み作りなど結構頑張っている町なのです。
結構多彩な建築物が残り、古い家にはその紹介を書いたプレートが掛けられ、歴史旅に訪れる人々に紹介しています。
最近ではカフェや洋食屋さんなど新しいお店も出来て、ランチの選択肢が増え、昔に比べ少しは賑やかになりました。
中でも一番古手の 「 茶房あゆみ 」 は開店当初からよく利用している。
古民家を利用した店内にはオルゴールが流れ、テーブル席やお座敷、炉端の板間などゆっくり出来る空間だ。
ランチセットや軽食もあるが、昼食はお蕎麦屋さんの私はほぼいつもこれ。
大宇陀の銘菓老舗和菓子店松月堂の 「 きみごろも 」 をコーヒーとセットで。
もちろん昔ながらの老舗店も頑張ってます。
奈良漬けの 「 いせ弥 」 、和菓子の 「 松月堂 」 などの看板が素敵です。
さすがに薬狩りの地とされていただけあって、薬にまつわる施設やお店も有り、 「 森野吉野葛本舗 」 では旧薬園の見学が可能だ。
真夏の昼下がりはさすがに人影も少なく、ゆっくりと静かに時間が流れていく。
この町には犬矢来や出格子を設えた家が多い。
犬の小用や雨の滴から家を守るため、とか、窓などに人を寄せ付けないように、とか、
謂われは色々あるようです。
石畳の路地が何本か有るのですが、その一つに一度行ってみたいと思っていた本膳食堂があるが、どうやら食堂としての役目を終えていた?
もしそうならちょっと残念。
ただ反対に、新しく再生されていく物も有り、少しずつ少しずつ昔へ進化 ? していく町です。
また、道の駅宇陀路大宇陀の裏山にある 「 大願寺 」 は、夏には青、秋には赤紅葉が楽しめ、
境内の奥には 「 おちゃめ庚申 」 が佇んでいます。
一度訪れてみてはどうでしょう。
奈良県宇陀市大宇陀
交通→近鉄榛原駅から奈良交通バスで約17分
道の駅宇陀路大宇陀下車 時刻表
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