蕎麦掻き
それは蕎麦粉を水で溶いて火にかけながら練っていくというシンプルで原始的な料理だ 。
最も蕎麦を打って麺状に切るそば切りが出来るまでは 、 この蕎麦掻きや蕎麦団子などが一般的な食べ方だったようだ 。
蕎麦掻きは麺のように繋ぐ必要が無いため、ある意味簡単に十割蕎麦を作ることが出来るというスゴイ代物 。
勿論主菜としてOKなのだが 、 蕎麦前のお供で酒肴としても頂くことが出来るのだから具合が良い 。
さて、話は晩春の頃 、 和歌山市屋形町にあるそば切り徳 。
この日蕎麦掻きでお酒を頂こうとお伺いした 。
一年半の休業を経て昨年8月にリニューアルオープンし 、 そろそろ一年になろうとしている。
再開したメニューにはワンドリンク付きの 「 蕎麦呑みのすすめ 」 というとても素敵なセットがラインナップされていて、蕎麦前に力を入れている感ありありで嬉しかったものだ。
お酒は和歌山の地酒が常時5種ほど用意され、中でも私のお気に入りは有田川町にある高垣酒造の紀勢鶴。
しっくりと私の口に馴染むお酒。
JR紀勢線の電化を記念して造られたお酒だが 、 昨年秋頃からは無き先代が仕込んだお酒を7年古酒として出荷 。
( 今は八年古酒になっているのですが )
これがフルーティーさを残し、日本酒としての旨味をキッチリと残したバランスが絶妙で、とても料理にも合うお酒に仕上がっています。
酒器はよく冷やされた錫製という贅沢な物で 、 これをお替わりごとに変えてくれるので 、 一合550円のお酒が美味しさ倍増なのです 。
この日はちょっといつもと違うセレクトにしてみました 。
蕎麦前の紀勢鶴に単品で蕎麦豆腐と蕎麦味噌をお願い 。
蕎麦前をメインにしていつもより多めにお酒を頂き 、 仕上げは鴨椀で蕎麦掻きを楽しもうという趣向 。
単品の蕎麦豆腐は酒肴五種盛りよりも少し大きめのが二つ 。
ワサビと醤油で頂きます 。
舌触り滑らかでお蕎麦の風味がフンワリと広がる物 。
蕎麦味噌は私の大好物。
というのも、味が神田やぶそばや浅草尾張屋など東京の老舗蕎麦店で出される物にかなり近い一品で、しかもピリ辛で量も多く、蕎麦の実のプチプチが楽しい食感。
(本当はこれだけでもお酒三合いけてしまいます。)
ここでなんと素敵なプレゼント。
「頂き物のコシアブラなんですが食べてみて下さい」
これ結構希少ですよね。
葉先や新芽には仄かな苦みがあって春香る大人の一品。
蕗の薹と並んで大好きな山菜です。
思わぬ頂き物に感謝。
さて〆には、鴨椀と蕎麦掻きをお願いし、その鴨肉と葱でお酒を頂きます。
大阪谷町にあった頃の蔦屋で初め知った鴨椀 は 、 鴨汁蕎麦( 鴨せいろ )の漬け汁なのだが 、 これがお酒のアテにもなかなか良い一品となります 。
鴨肉も柔らかく仕上がっていてジューシー 。
濃厚なのに決してクドすぎず 、 う~~ん 、 美味しい !!
鴨椀にそう遅れること無く出された〆の蕎麦掻き 。
徳の蕎麦掻きは黒ポチが散りばめられた挽きぐるみ系。
しかも舌触り滑らかなトロトロ仕上げで逸品 。
まずはそのままスプーンで漉くって口に入れる。
纏わり付くような食感の蕎麦掻きを舌と上顎に挟んで磨り潰すようにして頂くと 、 挽きぐるみの香ばしさが鼻に抜ける。
次ぎに蕎麦掻きと共に鴨汁を漉くって食べてみると 、 お酒のお供にもピッタリ !!
また、添えられたきな粉に付けるとさっきまで酒肴だった蕎麦掻きがデザートに変身 。
最後に蕎麦湯を頂いて胃の腑に優しさが流れ込み ・ ・ ・
ホッコリいたしました 。
食べ始めから食べ終わりまでお酒のお供でした !
えっ 、 これって〆になってない ?
蕎麦前だけの呑みっぱなしちゃうん ?
だから ・ ・ ・ だからなのです !
なのでこの日はいつもと違うチョイスで楽しんだ徳でした。
これでこの日の幸せ終了です。
そば切り 徳 お店は→和歌山市屋形町4-15-1
電話は→073-427-3456
営業は→11:30~14:30 18:00~21:00(要予約)
お休み→日曜日・木曜日
駐車場→すぐ近くにコインパーキング有り
サービス券もらえます
最寄り駅→JR和歌山駅・南海和歌山市駅から
バスで三木町新通り下車 徒歩約7分
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